「オール電化」について

 「エコで経済性に優れている」などの触れ込みで東京電力をはじめとする電力会社が販売に力を入れてきた「オール電化」の商品が、東日本大震災の影響で存続できるかどうかの岐路に立たされている。調理や給湯、冷暖房など全てのエネルギーを電気で賄う「オール電化住宅」は計画停電で不自由な存在に。電力消費量が多いことから、東京電力オール電化の商品の販売を休止した。 (木村留美



「火を使わず料理ができる。高齢者や子どもでも安心です」


 東電はこれまで、ガス会社との競争に勝とうとオール電化住宅の「IHクッキングヒーター」の利点を強くアピールしてきた。
 テレビCMを積極的に活用したPRも奏功し、オール電化住宅の販売はここ五年ほどで急増した。
 東電は二〇〇四年から事業を本格化。〇五年度末の管内九都県のオール住宅は二十万六千戸だったが、〇七年度末には二倍以上の四十五万六千戸に増加した。一〇年十二月時点では、〇五年度末比で約四倍に当たる八十五万五千戸に達している。
 しかし、今となっては、東電にとってオール電化商品の販売拡大は裏目に出た格好となっている。管轄する区域の気候が東電と似ている中部電力関西電力では、オール電化を使う家庭の電力使用量は、ガスと併用する家庭に比べ一・三〜一・五倍になると試算されている。
 東電の島田保之執行役員はこれまでの記者会見で「オール電化を勧められる状況になく、営業を中止している」と説明。既に利用している人には「ご迷惑をお掛けしている。アフターサービスはしっかり対応したい」と述べることしかできなかった。
 計画停電を実施していない中部電力関西電力など、他の電力会社はオール電化の商品の販売を継続。ただ、中部電力の担当者は「テレビCMを自粛し、キャンペーンやイベントも取りやめている」などと話し「自粛モード」だ。
 首都圏の計画停電は四月末にいったん終了しても、夏に再び実施される可能性がある。抜本的な電力の供給策が見つからなければ、計画停電の実施期間が長期化する懸念もあり、オール電化は正念場を迎えている。


 東京電力は17基の原発を所有しているそうである。全国で54基と言われているから、30パーセントを東電が所有していることになる。まさにこの3年間にオール電化住宅の消費電力の増加は原発2基分と読んだことがあるが、まんざら嘘ではないようだ。

 先日、ガス機器の修理に販売店に出向いたが、店員は大きな声では言えないが「オール電化」のキャンセルが多くガスに切り替え需要で大忙しと言っていた。そうだろう、これから電気代もあがるだろうし、輪番停電なんて言われたら、ガスの方に目が行くのは当たり前である。おまけに深夜電力もこの先どうなるのか分からないのであれば、電気とガスの併用が良いのであろう。

 いま、新築住宅の半分はオール電化と言われているが、今回の停電でカセットコンロを必需品として購入したり、七輪やバーベキューセットなどで急をしのいでいると聞く。しかし、IH台の上にカセットコンロを置いているのを想像すると、滑稽であるが笑えないところが現実である。