熊本地震

熊本地震 熊本城修復に数十年か

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 熊本地震で大きな被害を受けた国指定特別史跡の熊本城が修復に数十年を要する見通しであることが19日、関係者への取材で分かった。堅牢(けんろう)さが特徴だった石垣は全体の3分の2程度が崩れていることも判明。修復費は少なくとも数十億円規模になる見通しで、文化庁は今後、破損状況を詳しく調査する。

 「全て直すには30、40年かかるという専門家もいる」。熊本城総合事務所の担当者はこう説明する。熊本城が抱える国指定の重要文化財13件のうち、約400年前の建造時の状態で現存する「東十八間櫓(ひがしじゅうはちけんやぐら)」「不開門(あかずのもん)」「長塀(ながべい)」など5件が倒壊。残る8件も石垣が崩れたりした。「崩落した石垣は全体の3分の2に迫る」(担当者)という。

 熊本城は戦国武将の加藤清正が改築し、石垣は登るにつれて垂直になるため敵兵を寄せ付けない「武者返し」という独特な構造。修復は石一つ一つを記録に基づき、もとと同じ形、同じ位置で積んでいく緻密な作業が求められる。

 文化庁の19日のまとめによると、一連の地震で被害を受けた国指定の文化財は合わせて78件。重要文化財に指定されている阿蘇神社(熊本県阿蘇市)でも、楼門が全壊するなど6件の文化財に被害があった。熊本城総合事務所の河田日出男所長は「ショックを通り過ぎて言葉も出ない」と話した。