セシウム汚染水浄化

 医薬品などに使われる市販の顔料で、原子炉から発生する放射性物質セシウムに汚染された水を浄化する技術を、東京工業大原子炉工学研究所長の有冨正憲教授(原子力工学)らのチームが開発した。東京電力福島第1原発の事故で発生している汚染水の処理のほか、周辺の池や沼の浄化にも活用できるといい「一日も早い地域の生活、農業再建に役立てたい」としている。

 チームは、青色顔料の一種「紺青」の主成分「フェロシアン化鉄」に、セシウムを吸着する働きがある点に着目。汚染水にこの顔料を混ぜ、遠心力で分離した後、セシウムとともにフィルターでこし取るシステムを開発した。

 実験では、化学的な性質が同じで放射線を出さないヨウ素セシウムストロンチウムを海水に混ぜ、同原発の高濃度汚染水に相当する模擬汚染水(ヨウ素セシウム各10ppm=1ppmは100万分の1)を再現。模擬汚染水100ミリリットル当たり顔料1グラムを入れたところ、処理後の水から検出されたセシウムの濃度は1万分の1以下となり、ほぼ100%除去できた。

 ヨウ素ストロンチウムは除去できないが、ヨウ素半減期が8日と短いため問題は小さく、ストロンチウムセシウムに吸着する性質を使って除去率を上げることは可能だ。

 泥水の浄化などに使われる既存の可動式装置を使えば毎時最大300リットルを処理でき、処理後の水は原子炉の冷却水に再利用する方法が考えられるという。

 有冨教授は「福島原発で発生している汚染水に適用が可能だ。土壌の浄化にも応用したい。日本の科学の英知を合わせて復興に取り組むべきだ」と話す。【八田浩輔、須田桃子】


 青色顔料と云えばきれいで魅了される色が多いのであるが、主成分「フェロシアン化鉄」がセシウムを強力に吸着するそうである。よくこれを今の時期に発見したものだと感心してしまうが、早く実用化に結び付けて世界を驚かせてほしいと願うばかりである。


「ものづくり」、「ものづくり」とひところ騒いでいたが、震災で日本のものづくりは消えてしまったようだ。大企業の口だけの「ものづくり」に孫請け・下請けの被害に手を焼いている。実験はいいから、スピードを上げて「本当のものづくり」に取り組んでほしいと思っている。