<南アW杯 オランダ×ブラジル戦>西村主審の毅然レッドカード

 オランダ2─1ブラジル(準々決勝=2日)──日本の西村雄一主審と相楽亨副審らがオランダ―ブラジル戦の審判を務めた。

 世界の一流と呼ばれる選手には、独特の刺すような雰囲気がある。ましてやW杯準々決勝となると、鬼のような目つきで主審にも抗議してくるが、西村主審はこの日も毅然(きぜん)とした態度を貫いた。

 73分、ブラジルのフェリペメロにレッドカードを提示。ドゥンガ監督は不服そうだったが、ロッベンを倒した後、左足を踏みつけていた。映像を見返すと、勢いというよりも故意。西村主審はきっちり見届けていた。決勝トーナメントに入り、誤審の目立つ今大会。世界の注目を集める一戦を任され、西村主審に重圧はあったはずだが、いつも通りに冷静に試合を裁いた。


 昨日のオランダ・ブラジル戦の後半戦は険悪なムードであった。思いもよらぬ後半8分、オウンゴールにより同点になると流れは一発で変わってしまった。ブラジルの攻撃はかみ合わず、ついにブラジルフェリペメロが相手FWロッベンの足を故意に踏みつけ、これは険悪な試合だと思ったが、西村主審、和やかな顔でありながら毅然とした態度でレッドカードを切った。

 
 前々から笑いながらレッドカードを出す審判として有名であったが、昨日の試合では真剣さが見て取れた。常に両手のひらを下に押すジェスチャーで選手に落ち着く様に制していた。


 特にブラジルのようにプライドが高い選手達は負けを受け止めないであろうから、敗因は審判の誤審により選手が少なく負けたと言いたいのであろう。あのような雰囲気の中で審判と言うのは非常に難しいと思うが、審判の判定のおかげであんなに面白い試合を見れたのは嬉しい限りである。日本選手の試合も良かったが、西村主審の判定も侍を感じてしまった。