シンドラーエレベータ圧死 国交省報告

東京都港区のマンションで平成18年6月、都立高2年の市川大輔さん=当時(16)=がシンドラーエレベータ製のエレベーターに挟まれて死亡した事故で、国土交通省昇降機等事故対策委員会は8日、「ブレーキ異常が直接の原因。設計や品質にも問題があった」とする事故調査報告書をまとめた。

 この事故で、公的機関が製品の欠陥を指摘したのは初めて。報告書では、事故機の保守管理会社がメーカー作成の保守点検マニュアルを引き継いでいなかった点や、設計上の問題などで不具合が頻発していた点も問題視。「適切な保守点検や不具合の原因究明で、事故が防止できた可能性は否定できない」と指摘した。

 報告書によると、ブレーキを作動させる電磁コイルに不具合が生じ、ブレーキが半分かかった状態で運転を続けたため、かごを巻き上げるドラムを停止時に押さえるパッドが擦れて摩耗。ブレーキが利かず、かごが上昇したのが事故の直接原因だという。

 一方、マンション内の同型機でも不具合が頻発。委員会の調査の結果、不具合の多くは制御器に電磁波が影響していたためとみられ、報告書は「設計上の問題があった」とした。

 また、事故機の保守を行っていたシ社は、次の保守管理会社に点検マニュアルを渡していなかった。業界の慣例だという。以降の保守管理会社は一般的な仕様書やシ社の類似機のマニュアルを元に点検せざるを得なかった。

 この事故では、シ社と当時の保守管理会社エス・イー・シーエレベーターの計5人が業務上過失致死罪で在宅起訴されている。

 市川さんの母親の正子さんは「(事故から)約3年でやっと認められた」、父親の和民さんは「さらなる改善を続け、息子の死を無駄にしないでほしい」と語った。


都立高2年・市川大輔(ひろすけ)さんが亡くなって3年が経つという。今までシンドラー社の謝罪はなかった事に対する外国メーカーの考え方の違いに驚いてしまう。子供を亡くした親の気持ちを思うと、信用して乗った使用者を亡くしたメーカーとしての責任を考えてしまう。


 さて原因はどうもよくわからない、ブレーキパットの摩耗でかごが停止されなかった。それはブレーキコイルがショートして、半ブレーキの状態で運転が繰り返された結果、パッドが摩耗しというものだ。なぜショートしたのかというと、制御器が電気的ノイズの影響を受けやすく設計上の問題があったというメカニズムだ。


 とんでもない構造だ、人が乗るエレベーターに「フェイルセーフ(fail safe)」という考え方がないのである。誤操作、誤動作による障害が発生した場合、常に安全側に制御することは基本である。ショートしたらブレーキがかかり絶対に動かないし、その事をを点検しに来るのが保守メーカーだ。メーカーも悪いし、保守点検メーカーもひどいもんだ。早く謝罪をして、亡くなった人に手を合わせて欲しいと思うのである。