巨人対ヤクルト戦 ・・・総力戦でM19

  巨人3―3ヤクルト=延長12回引き分け=(4日・東京ドーム) 巨人は激闘の末シーズン9試合目の引き分けに持ち込み、優勝マジックを1つ減らして19とした。

 序盤、不安定な出来だった先発・グライシンガーが2回、3回に1点ずつを失い、打線もヤクルト先発のユウキを打ちあぐねていたが、6回、小笠原の右越え28号ソロで反撃開始。ところが7回2死満塁から2番手の山口が投ゴロの処理を誤って3点目を許し、勝負あったかに思われたが、ここから思わぬ展開が待っていた。

 巨人は9回1死二、三塁とヤクルト3番手の松岡を攻め、松本の二ゴロでまず1点。2死三塁から、小笠原は高々とフライを打ち上げ万事休すと思った瞬間、打球は東京ドームの天井を直撃し、右翼と二塁の中間のグラウンド上にポトリと落ちるタイムリ二塁打。“想定外”の一打で同点に追いつき、延長戦にもつれ込んだ。

 さらに11回、巨人先頭の加藤が頭部に死球を受けて退場。すでに阿部、鶴岡も交代し、捕手がひとりもいなくなった巨人は12回、すべてのポジションを守れる木村拓が公式戦では広島時代の1999年以来10年ぶりにマスクをかぶることになった。木村拓は豊田、藤田、野間口と3人の投手の球を受けて無失点に切り抜けた。最後はベンチ入りした選手をゴンザレス以外全員使い切る総力戦。試合時間5時間27分はセ・リーグ今季最長となった。

 この試合巨人にとって負けなかったことはすごいと思った。巨人が延長11回、捕手・加藤が頭部に死球を受けた時残る捕手がいないので誰がやるのかと思ったが、木村拓が10年ぶりにマスクをかぶった。なんというか高校野球のようなひたむきさの印象が強い試合であったろう。プロ野球で全員野球のような総力戦はなかなか見えないが、「困ったときの拓也だのみ」が功を奏した面白い試合であった。

 巨人ファンのかみさん、きげんがよいのであった。