人気のハイブリッド車、懸念されるレアメタル不足

トヨタ自動車<7203.T>の「プリウス」などハイブリッド車は燃費の良さで人気だが、ガソリンエンジンと併用される電気モーターやバッテリーは希少金属レアメタル)を大量に消費する。
ハイテク家電などにも幅広く使われるレアメタルについては、世界的な需要が急拡大するなか主要産出国である中国が輸出を制限するなど、専門家は供給不足を予想する。新たな大規模生産源が開発されない限り、世界のレアメタル供給量は向こう数年間にわたって、需要を年間約4万トン下回るとみられる。供給不足の影響を最も受けそうなのが、ハイブリッド車に搭載される電気モーター用の軽量磁石に使われるネオジムネオジム磁石風力発電機にも使用されるが、ハイブリッド車と風力タービンの生産量は、環境意識の高まりを背景にした代替エネルギー需要の増加に伴い、今後急激に増加すると予想されている。
 米国のハイブリッド車市場では、販売台数トップを走るプリウスを抱えるトヨタが70%のシェアを抑えているが、コモディティコンサルタントのジャック・リフトン氏は、プリウスを「世界最大のレアメタル消費製品」と呼ぶ。プリウスの電気モーターには1台当たり1キロのネオジムが使われており、リフトン氏によると、トヨタの燃費改善計画でこの数字は約2倍に増える見通し。
 トヨタは米国でのプリウス販売台数について、2009年に10万台、2010年に18万台を計画。一方、中国は自国で産出されるレアメタルの大半を国内で消費し始めており、トヨタなど各社はレアメタルの安定調達先の確保を模索している。


 量産すれば価格は下がると思っていたが、どうもハイブリッドは別である。すなわち、レアメタル希少金属)の中でも「ネオジム」を一番使用しているといわれている。この金属は非常に強力な永久磁石の材料でもあり、HVモーターには必要不可欠なものである。


 この磁石を発明したのは住友特殊金属の佐川真人氏であるが、富士通で認められず、磁石メーカーである住友特殊金属に変わって開発した話は有名である。すなわち、MRI(磁気共鳴断層撮影装置)と同じ役割の磁石がHVモーターに使われているのである。


 時代の最先端の材料を多用しているからこそ、新しいものが生まれているのである。希少材料は高価であるのは当然であるが、影に隠れた問題がたくさんあることを忘れてはならない。