歴史に残る驚異的粘り=日本文理

最後の一瞬まで満員の甲子園を絶叫させた。初めて踏んだ決勝の舞台で、日本文理が歴史に残る驚異的な粘りを見せた。
 6点差の九回2死。切手の選んだ四球が猛攻の呼び水となった。高橋隼、武石の連続長打で4点差。死球の後、高橋義もフルカウントまで粘って四球。日本文理の打者はボール球にほとんど手を出さない。カウント2−3を想定した打撃練習を繰り返してきた成果が、最後の土壇場でも生きた。
 満塁でエースの伊藤。左前打で二人の走者を帰し、「ずっとつなぎの野球を心掛けてきたけど、味わったことがない気持ち。最高だった」。なおも一、二塁。代打の石塚が初球を左前に運んだ。
 ついに1点差。一打同点の一、三塁。打席に入る若林に中村主将が「絶対にいける。おれまで回せ」と声を掛けた。地鳴りのような声援。若林の鋭い打球は三塁手の正面。必死につないだ攻撃が届かずに終わった。
 「最終回はまさに自分たちの野球。最高の声援を聞けた。この仲間と野球ができてよかった」と中村主将は胸を張った。スタンドからは優勝チームと変わらない大きな拍手が送られた。


凄い試合であった。新潟人の粘りを見たような気がする。愛知の中京大中京の選手は日本文理より体格の面では勝っていたが、あの粘りは予想外であったのだろう。中京大中京は6点差で迎えた9回、涙ぐむ選手もいるほど優勝を意識していた。そこが、浮足立った状態になりミスを出してしまった。


 凄い状況だ、スタンドからの波打つ観客の声援、尋常でない状況が子供たちを襲いかかる。あと、1人が長かった。どちらが勝ってもおかしくない状況から勝負は1点差で幕を下ろした。


 素晴らしい試合だった。