靴を投げ英雄に・・・。

 アラブ圏で、14日にイラクを予定なしに訪問したブッシュ米大統領めがけて靴を投げつけた、イラク独立系テレビ「バグダディヤ」のザイディ記者(29)が英雄になっているという。

 現地メディアは「ブッシュに靴を投げつけた行動は最高のお別れ挨拶だった」とし、「イラクやその他のアラブ国家・国民らがどれだけブッシュを憎悪しているかを見せてくれた」と報じ、ザイディ氏の行動を誉めた。また、レバノンイスラム過激派のヘズボラーは「ザイディは英雄として扱われるべきだ」と述べた。

 テレビ「バグダディヤ」は15日、声明を通し、「米国がイラク国民に約束していた民主主義と表現の自由の延長線上において、ザイディ氏を釈放すべきだ」と促した。同テレビ局の同僚らは「ザイディ氏は数か月間、万が一機会が訪れたら、ブッジュに靴を投げかける準備をしてきた」とし、「ザイディ氏は米国と米軍、ブッシュを憎悪していた」と説明した。

 ザイディ氏は2005年9月バクダッド大学を卒業した後、テレビ「バグダディヤ」に入社。2年後、バグダッド北部のスンニ派占領地域で取材途中、武装勢力に拉致されたこともある。当時、同氏は3日間におよぶ同テレビ局の絶えない釈放要求により無事に解放されており、家族は拉致の背景として国際テロ組織のアルカイダを批判した。

 家族らによると、同氏はまた家宅捜査した米軍に捕らえられ、一日後に釈放されたこともあるという。それ以来、米軍やイラク内政に干渉するイランを憎悪するようになったという。


 靴をよけるブッシュ米大統領の身のこなしはなかなかのもので、二足の靴を難なくよけた。ムンタダル・アルザイディ容疑者の、「これはイラク人からの別れのキスだ。犬め」とアラビア語で叫んだと言うが、アラビア語ではブッシュには通じなかった。ブッシュは「飛んできた靴はサイズ28センチだったよ」とジョークを他の記者たちと交わすなど、余裕をみせた。


 今回の訪問はイラク政策の成果を強調するためのものであったが、犬呼ばわれされおまけに靴を投げられるということは、イラクの憎しみは相当なものであるということだ。イラクの立場であれば、ブッシュに100万人殺されたと言う事実は靴ぐらいではおさまらないのであろう。


 しかし、イラクで犬はさげすまれている動物の一つだそうな。ペットを飼う習慣のない国民がアメリカ人を見る眼差しは、その昔我が国が「鬼畜米英」と呼んでいたときとよく似ているように思うのである。