那智の火祭り

 和歌山県那智勝浦町那智の滝前で14日、「那智の火祭り」があり、燃え盛る大たいまつの乱舞に観光客約7500人が圧倒された。

 熊野那智大社例大祭で、熊野の十二神が年に1度、かつて祭られていた那智の滝に帰る神事。重さ約50キロの大たいまつ12本は、神々が乗った扇みこし12基を清め、滝へ導く役目を担う。氏子らが抱えた大たいまつは滝へ続く石段の途中で、本殿から下りてきた扇みこしを出迎え、「はーりゃ」の掛け声に合わせて円を描きながら勇壮に練り下った。



 「那智の火祭り」は写真を見ても圧倒されるこの祭り、死ぬ前に一度は見たいと思う祭りの一つだ。ちょうど旧盆の1日前におこなわれるもので、十二体の熊野の神々が大滝の前の飛滝神社に年に一度の里帰りをすると言われている。


 しかしこの祭りを見ていると、神々の周りには魑魅魍魎が遠巻きに眺める様子をどうしても想像してしまう。それほど、鬱蒼とした杉木立の杜に火が映える。鎮魂の意味での火は大きいほど良い、大たいまつから発散される火の粉は杜に吸い込まれ杉木立を赤々と染める。