運慶・木造大日如来座像が1280万ドル・・・

鎌倉時代の仏師、運慶の作品とみられる木造大日如来座像が18日、ニューヨークの競売商クリスティーズで競売に掛けられ、日本の大手百貨店の三越が1280万ドル(約12億7000万円、手数料除く)で落札した。クリスティーズによると、日本の美術品としては過去最高、仏像としても世界最高の金額という。


 円高、ドル安で何とか海外流出は食い止めたようだが、檜材の66センチの大日如来座像が1280万ドルとは複雑である。個人蔵である運慶作品を国際的に有名なクリスティーズ美術品競売商(Christie’s auction house)の競売に掛けられたことから、予想価格(150万〜200万ドル)の6倍以上に跳ね上がるという、快挙であった。


 この坐像は現在の所有者が2000年古美術商から入手し、2003年東京国立博物館に鑑定を依頼、「義兼が創建した樺崎寺に安置されていた運慶作の仏像とみられる」と鑑定された。海外流出を防止するため、足利市文化財専門委員会は署名活動を始めた経緯があるが、現在の所有者がどれだけ儲けたかは不明である。


 ああ、しかし運慶作といえば、奈良・東大寺南大門 金剛力士立像や空也上人立像で有名な六波羅蜜寺地蔵菩薩坐像が頭に浮かぶが、仏像も商品として扱われる時代に運慶作品をもう一度見たいような衝動に駆られるのである。まあ、三越が落札してくれて一安心と云うところだ。