芥川賞に諏訪哲史さん「アサッテの人」、直木賞は松井今朝子さん「吉原手引草」

 第137回芥川賞直木賞日本文学振興会主催)の選考委員会が十七日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞名古屋市西区諏訪哲史さん(37)の「アサッテの人」(群像六月号)、直木賞松井今朝子さん(53)の「吉原手引草」(幻冬舎)に決まった。

 芥川賞諏訪哲史さんは名古屋市西区出身、名古屋西高を経て、国学院大文学部哲学科卒。大学時代から独文学者の故種村季弘氏に師事したというから、神秘学思想の影響は大であるから、早く読んでみたいと思っている。「ぽんパ」「チリパッハ」などの意味不明な言葉が飛び交う叔父の人物像に興味あり、どんなストーリーが展開されるのか楽しみな作品である。

 直木賞松井今朝子さんは京都市出身、早大大学院演劇学修士課程修了。子供の頃から歌舞伎の魅力にとりつかれ、松竹に入社し歌舞伎の企画・制作に携わる。今回の作品の「吉原手引草」は吉原一とうたわれた舞鶴屋の花魁(おいらん)、葛城の失踪を追う時代小説といい、歌舞伎の知識が松井今朝子さん流の時代背景を感じさせてくれるのではないかと楽しみである。