天然ダム湖決壊の恐れ 十津川村に避難指示

 台風12号による紀伊半島豪雨で、奈良県五條市大塔町で崩れた土砂が川をせき止めてできた天然のダム湖が決壊し、鉄砲水が起きる可能性があるとして、下流にある同県十津川村は8日、流域の約160世帯、約300人に避難指示を出した。

 被害発生から9日で1週間を迎えるが、気象庁によると、紀伊半島は温かく湿った空気が流れ込んで大気の状態が不安定になる見通し。三重、和歌山、奈良各県で8日夜から9日夕までの24時間に100〜120ミリの大雨の恐れがあると予報。関係者は新たな土砂災害への警戒を強めている。

 奈良県によると、決壊の危険がある土砂ダムは奥行き約800メートル、最大幅約150メートル。「非常に危険な状態」だが、現場に放水設備や重機を搬入できないため「対応する手だてがない。当面できることは監視しかない」としている。


 雨の被害が心配である。天然ダム湖がいつ決壊するかわからない状況にあるという。決壊すれば次の天然ダムを作ることにもなるかもしれない。自然の驚異には避難するしかやるすべはない。

 十津川村和歌山県新宮市から熊野川を上ったところにある山に囲まれた静かな山村である。林業、農業が主な産業であるが、日本有数の長さを誇る鉄線のつり橋「谷瀬つり橋」は私も行ったことのあるところである。
 十津川村は昔から水害に悩まされており、この地を去り北海道樺戸郡「トック原野」に入植するという悲しい歴史を持っている。これが新十津川村(現在は町)であり、「母村」(ぼそん)と呼び、交流は今も続いている。

 不思議なことに、野田内閣の前田武志国土交通大臣十津川村出身であり、そして経済産業大臣鉢呂吉雄大臣は北海道新十津川町出身という同じDNAを持った政治家が出会った訳だ。自然の驚異には避難するしかやるすべはないと書いたが、被害をできるだけ小さくできるのは政府の力量だ。