「レジの金、商品…すべて盗まれていた」 一時帰宅

 東京電力福島第1原発が立地する福島県大熊町の避難住民が4日、警戒区域内に入り、初めて一時帰宅した。この日は同県浪江町の住民も警戒区域内への立ち入りを実施。両町合わせて住民計322人が一時帰宅や慰霊などを行った。

 大熊町の住民は、防護服を着用し、町と隣接する田村市からバスに分乗して立ち入りを実施。原発から約5キロの地域も対象となったが、55世帯97人の参加者の受けた放射線量は最高で23マイクロシーベルトだった。久しぶりの故郷は、地震でひび割れした道路に車がはさまったまま放置されているなど、震災の爪痕がくっきり。

 無人に乗じた店舗荒らしの被害にあった店も。5キロ圏内にある酒屋の店主は「レジのお金、金庫、自動販売機のお金、商品…。すべて盗まれた。悪い人がいるような地域ではないのに。腹立たしい」と怒りをあらわに、変わり果てた店内を見つめていた。


 ひどい話である。政府の言うことを聞き避難し、ようやく自分の家に帰ったら荒らされていた。こんなひどいことをだれがするのであろうか。何を信用していいのだろうと嘆く気持ちはよくわかる。きっとボランティアに紛れ込んで心無い人たちも紛れ込んでいるという。


 私はボランティアに申し込んでいる。私の立場であれば疑われれば心外である。でも事実として、国で守られた地区であっても、こういう事実があればしょうがない。そうやって人と人との信頼が崩れていくのであろうか。そんなところも体験したいと考えているが、そのこと自体が被災者には心持ならないことであるのかもしれない。