アカデミー賞は「ハート・ロッカー」6冠、「アバター」は3部門

 第82回アカデミー賞の授賞式が7日、当地のコダックシアターで開催され、イラク戦争での米軍爆発物処理班の兵士を描いた「ハート・ロッカー」が、作品賞など6部門で受賞した。
 同作品で監督賞にも輝いたキャスリン・ビグロー監督は、アカデミー賞史上初めて女性が同賞を受賞するという栄誉も手にした。同賞にはビグローの元夫でSF大作「アバター」のジェームズ・キャメロン監督もノミネートされ、「元夫婦同士の対決」に注目が集まっていた。
 両作品はともに9部門でノミネートされていたが、世界全体での累積興行収入が25億ドル(約2260億円)を超えた大ヒット作のアバターは、視覚効果賞など3部門での受賞にとどまった。
 主演男優賞は「Crazy Heart(原題)」のジェフ・ブリッジス、主演女優賞は「しあわせの隠れ場所」のサンドラ・ブロックが獲得。2人はともにアカデミー賞初受賞となった。
 このほか、助演女優賞は「プレシャス」のモニーク、助演男優賞は「イングロリアス・バスターズ」のクリストフ・バルツがそれぞれ受賞した。
 また、長編ドキュメンタリー賞は、和歌山県太地町のイルカ漁をテーマにした「ザ・コーブ(入り江)」が受賞した。


元夫婦対決となった今年のアカデミー賞であるが、予想通りキャスリン・ビグロー監督に決まった。彼女が58歳でキャメロン監督より年上であると言うのは今回知ったが、まだまだ若くエネルギッシュなところは授賞式を見て改めて感じた。


 今回のアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞には和歌山県太地町のイルカ漁を隠し撮りした米国の「ザ・コーブ(入り江)」が選ばれたが、複雑な心境である。太地町では昔からこの漁法でイルカ漁を行っており、西洋の考え方を無理やり押し付けようとしているが、宗教観や文化論に真っ向から違いがあり、隠し撮りまでして作品を撮るやり方は政治的に使われ、日本の漁業のすべてが批判されるような気がしてならない。


 我輩も太地町で釣りをしたことがあるが、釣りの考え方は全く違い今机上で考える「漁」というものの価値観は通用するものではない。イルカ漁も生活する上で必要不可欠なもので単に我々が考えるような遊びの釣りの領域とは違うと思うのである。太地町にとっては非常に残念な結果である。