つかんだ! 夏春連続の甲子園切符 (選抜・・・三重高校)

  阪神甲子園球場で3月21日に開幕する第82回選抜高校野球大会毎日新聞社・日本高野連主催)に29日、県内から三重(松阪市久保町)が出場することが決まった。三重のセンバツ出場は15年ぶり10回目。県勢のセンバツ出場は08年の宇治山田商伊勢市)以来の2年ぶりとなる。三重は第41回大会(1969年)で優勝しており、選手たちは新たな歴史を刻み始めた。
 午後3時28分、三重高の校長室の電話が鳴った。垂髪(うない)隆一校長は「はい、ありがとうございます。謹んでお受けいたします」と笑顔で答えた。受話器を置くと、沖田展男監督とがっちり握手。「バンザイ!」と3回、両手を上げた。
 5分後、センバツ出場を告げる校内放送が流れると、校舎内に「キャー」「オーッ」と喜びの声がこだました。部室では選手たちが跳び上がり、「やった」と抱き合った。田村拓土投手(2年)は「毎日祈っていた」と安堵(あんど)の表情。谷川航太郎選手(同)は「本当に選ばれるなんて」と声を弾ませた。
 校内放送から約20分後、選手たちは校舎玄関前に集合。吹奏楽部と応援部が「甲子園でも勝つぞ、三重高」とエールを送った。垂髪校長は「日本一を目指してベストを尽くしてほしい。恥じない戦いをして」と激励した。山中光茂松阪市長も駆けつけ「はつらつとしたプレーを見せて」と声を掛けた。
 昨夏の甲子園で投手を務めた牧田知也さん(3年)は「自分のことのようにうれしい」と、後輩たちを眺めた。また、マネジャーとして昨夏、選手たちを支えた中西琴星(ことせ)さん(同)は涙を浮かべ、「毎日、頑張って練習する姿を見てきた。本当に良かった」と、後輩マネジャーたちと抱き合った。
 増田大樹投手(2年)と松田渉吾選手(同)は「選考結果が気になって、授業中、落ち着かなかった」と照れ笑い。でもすぐに「全国でも負けるとは思っていない」と表情を引き締めた。その後、選手たちは練習のためグラウンドに向かった。


 ◇東海大会では打撃力印象づけ
 昨夏の甲子園出場の時は「強力打線」が自慢のチームだった。3年生が抜けた秋以降、打撃力の低下が心配されたが、打線をつなげて得点、不安を払しょくした。
 秋季県大会では、松阪商戦にコールド勝ちし、勢いに乗った。優勝候補と目された菰野などに勝利。決勝のいなべ総合戦では、延長十回の末、サヨナラ勝ちで優勝を果たした。
 東海大会では、豊川(愛知)を5点差で降し、準決勝では、昨夏の甲子園優勝校の中京大中京(愛知)と対戦。相手より2本多い10安打を放ち、打撃力を東海地区の高校野球関係者に印象付けた。


第82回選抜高等学校野球大会 出場校

 -北海道 北照 10年ぶり3回目
 -岩手 盛岡大付 7年ぶり2回目
 -秋田 秋田商 4年ぶり6回目
 -群馬 前橋工 15年ぶり4回目
 -埼玉 花咲徳栄 7年ぶり2回目
 -千葉 東海大望洋 初出場
 -東京 帝京 3年ぶり14回目
 -東京 日大三 8年ぶり17回目
 -神奈川 東海大相模 4年ぶり8回目
 -富山 高岡商 4年ぶり4回目
 -福井 敦賀気比 2年ぶり3回目
 -愛知 中京大中京 3年連続30回目
 -岐阜 大垣日大 3年ぶり2回目
 -三重 三重 15年ぶり10回目
 -京都 立命館宇治 6年ぶり2回目
 -奈良 天理 3年連続20回目
 -和歌山 智辯和歌山 2年ぶり9回目
 -大阪 大阪桐蔭 3年ぶり4回目
 -兵庫 神戸国際大付 5年ぶり3回目
 -兵庫 神港学園 4年ぶり5回目
 -岡山 関西 3年ぶり10回目
 -広島 広陵 3年ぶり22回目
 -島根 開星 2年連続2回目
 -愛媛 今治西 4年連続12回目
 -高知 高知 3年ぶり15回目
 -福岡 自由ケ丘 初出場
 -宮崎 宮崎工 初出場
 -沖縄 嘉手納 初出場
 -沖縄 興南 2年連続4回目

21世紀枠
 -山形 山形中央 初出場
 -和歌山 向陽 36年ぶり15回目


 三重から選抜出場できて本当に良かった。本来東海枠は愛知・岐阜・三重・静岡の4県から2校である。たまたま岐阜県大垣日大明治神宮大会で優勝してくれたおかげで明治神宮枠を獲得でき3枠となり、三重が選ばれたわけだ。こういうのを「タナボタ」というのであるが、夏大会で1回戦を突破した実力と沖田展男監督の強い指導力があるから選ばれた。嬉しい限りである。


 今回三重高校の注目選手にエースの松田渉吾選手がいる。松坂中部中学出身でサウスポー、167センチの体から投げ出される弾は切れがあり、投打目が離せない選手である。昨年三重大会決勝では海星を相手に8回裏三重2死満塁の所で、本塁打を放ち勝負をものにした。勝負強いところは三重高校のけん引役である。


 是非とも、1969年のように全国制覇をしてくれるよう、夢を見るのである。