平山郁夫さん死去 日本画家シルクロード描く

 シルクロードや仏教を主題とした雄大な作品で知られ、世界の文化財保護にも尽力した日本画家で文化勲章受章者の平山郁夫(ひらやま・いくお)さんが二日午後零時三十八分、脳梗塞(こうそく)のため東京都内の病院で死去した。七十九歳。広島県出身。密葬を行い、後日お別れ会を開く予定。ともに日取り、喪主は未定。 

 広島の旧制中学に通っていた十五歳のとき、学徒勤労動員先の兵器工場で被爆九死に一生を得た。東京美術学校(現東京芸術大学日本画科で学び、前田青邨に師事した。一九五三年「家路」で院展初入選、五九年、被爆の後遺症に苦しむなかで完成させた「仏教伝来」が転機に。「入涅槃(ねはん)幻想」など仏教をめぐる連作の礎になった。

 六六年、東京芸大の遺跡調査団でトルコを訪問して以来、毎年のようにシルクロードを取材。仏教に関する伝説や逸話による叙情性豊かな画風をひらき、二〇〇〇年に完成した奈良市薬師寺玄奘(げんじょう)三蔵院の「大唐西域壁画」に結実させた。

 法隆寺高松塚古墳の壁画など、文化財の保存修復に参加。ユネスコ親善大使として、敦煌高句麗壁画、バーミヤンの遺跡の保存に尽力した。「文化財赤十字」構想を提唱、歴史的文化遺産の保存活動を行うネットワークづくりに尽くした。

 八九〜九五年と〇一〜〇五年の二度にわたって東京芸大学長。九二年から日中友好協会会長を務め、名誉会長に。九六年から日本美術院理事長。九八年、文化勲章を受章。

 海外からの評価も高く、九六年、フランスのレジオン・ド・ヌール四等勲章。〇一年にフィリピンのマグサイサイ賞、〇四年には、北朝鮮高句麗古墳群の世界文化遺産登録に寄与した功績で、韓国政府から修交勲章興仁章を受けた。


 平山郁夫さんが亡くなった。「最近、ふっくらとして昔の印象と違ったなぁ」と思っていたが、脳梗塞(こうそく)とのことで、非常に残念である。79歳、まだまだ創作意欲はあったと思うが、寿命であったと思うしかないのである。


 最近、彼の作品で印象深いのは、奈良市薬師寺の「大唐西域壁画(だいとうさいいきへきが)」と滋賀県守山市にある佐川美術館の「平和の祈り」である。この美術館では、12月1日から企画展「平山郁夫シルクロード 仏の来た道」が始まったばかりという。


 作品を思い出しているが、きっと玄奘三蔵が天竺を目指したように、シルクロードの道を歩いているのだろう。日本文化の源流を見つめさせてくれた彼の功績は大きい。


 彼の作品は非常に多い。静かな月の光のような作品は奥行きがある。

冥福をお祈りいたします。