トヨタ『Ｆ１富士』撤退へ

　トヨタ自動車は傘下の富士スピードウェイ（ＦＳＷ、静岡県小山町）で開催している自動車レースの最高峰、Ｆ１日本グランプリ（ＧＰ）を二〇一〇年以降開催しない方針を決めた。ＦＳＷが七月中にも発表する。

　トヨタは一〇年三月期決算が、前期に続き二年連続の営業赤字に陥る見通しで、収益改善に向けたあらゆる事業見直しを進めている。ＦＳＷでのＦ１開催権料は約三十億円でこれとは別に開催に伴う諸費用がかさむため、広告・宣伝効果と見合わないと判断した。

　トヨタは二〇〇〇年にＦＳＷを買収し約二百億円を投じて設備を改修。〇七年からの開催にこぎ着けたが、わずか二回で撤退となった。Ｆ１へのチーム参戦についてはコスト削減を図りながら活動を継続する意向。ＦＳＷのレース施設などはそのまま営業していく。

　初開催となった〇七年には、一部客席からレースが見えず、雨で場内の道路が陥没して大渋滞になるなど観戦トラブルが発生。ＦＳＷは二十数億円をかけ場内を追加整備した。連続開催の〇八年はバスの運行本数を増やすなどしたが、入場者数を制限したこともあり費用がかさんでいた。

　日本ＧＰは、ホンダ傘下の鈴鹿サーキット（三重県鈴鹿市）とＦＳＷでの交互開催となっており、今年は十月に鈴鹿で開かれる。トヨタの撤退で、一〇年以降は鈴鹿での毎年開催の可能性がある。

とうとう、不景気風も身近に吹いてきた感じだ。トヨタ新社長に就任した豊田章男氏の初仕事ともいえるような大決断である。でも、これでいいのだ。ホンダがF1撤退し、トヨタが富士から撤退する。そしてハイブリッドの競争が始まるのである。