タンポポの根・・・・「発毛促進剤」効果

 タンポポの根の発毛・育毛作用を発見し、その成分を利用した育毛剤を開発したのは医薬部外品製造大手「ツムラ ライフサイエンス」(東京・港区)。開発者である商品開発部開発3グループ、金谷裕敏グループ長(50)は「世界初の発見」と胸を張るが、いったい何が新しいのか。

 「毛包を強くする3つのタンパク質と毛髪を支える内毛根鞘という『髪の毛の鞘』にタンポポの根(生薬名・ホコウエイ根)が効果を発揮、高い発毛・育毛作用が得られます。これは今回の研究で初めて明らかになったこと。来年3月には日本薬学会で研究成果を報告する予定です」

 にわかに薄毛男性の救世主となりそうなタンポポだが、世紀の発見は意外と単純な発想からだ。

 「薄毛の最大要因は男性ホルモンの過剰分泌。その抑制が薄毛予防には欠かせないわけですが、そのためには女性の機能改善に効果のある成分が有効なはずだと予測したのです。そこで、漢方から女性に有効なあらゆる成分をピックアップ。そのひとつがタンポポだったのです」(金谷氏)

 不妊治療に効く健康食品として、タンポポの成分を配合したコーヒーやお茶も売り出されている。漢方を応用した新薬開発に携わった経験を持つ金谷氏は、中国の伝統的医療法「中医学」の古い専門書から、タンポポに関して「母乳の出がよくなる」という記述があるのを発見。中国にスタッフを派遣し、原生するモウコタンポポを採取した。

 動物実験によってタンポポの効果はすぐに証明された。しかし、商品化までの道のりは長く、「メカニズム解明に8年。商品化までに足かけ10年かかりました」と語る。

 ツムラが言うんだからまんざら嘘でも無いだろう。株式会社ツムラは、売上高 861億2500万円(2006年3月期)、医療用漢方薬ではトップシェアーを占める漢方薬品メーカーである。

 中国には子会社もあり、生薬「ホコウエイ根(タンポポの根)」も手に入りやすく、難しい名前の「HGF(肝細胞増殖因子)産生促進作用」とやらも科学的に証明出来ているらしい。しかし、薄い人間にしてみれば効果があるかどうかは使用してみれば直ぐ分かるのに、期待の方が大きすぎついつい新情報に飛びついてしまう。

 来春発売のこの商品首をながくして待つ間に何本抜けるか、寂しい気分になる2008年クリスマスイブである。