NHKドラマ『帽子』


 10月5日に亡くなった俳優の緒形拳さんが私たちの色々なメッセージを残してくれていた事が時間が経つにつれ、だんだん分かってきた。


 その一つがNHK広島放送局開局80周年ドラマ『帽子』であった。8月2日に放送(10月10日再放送)されたものであったが、緒方拳、田中裕子、玉山鉄二の豪華キャスト、脚本は昭和21広島県呉生まれの池端俊策氏である。第三回向田邦子賞を受賞、映画監督作品「復讐するは我にあり」「優駿」「あつもの」などがあるが、池端氏作品であるからし緒形拳さんの心を揺り動かし、まさに命がけで取り組んだドラマである。



 この物語は軍港の町、呉にある帽子職人である春平(緒方拳)が主役だ。かつて山本五十六連合艦隊司令長官の軍帽を作った誇りを受け継ぎ、最近物忘れも多くなった老人を演じている。
 毎日のように警備員の吾朗(玉山鉄二)を呼び困らせているが、ヒョンな事から幼なじみの世津(田中裕子)が吾朗の母親で今、ガンの末期にあると知る。胎内被爆を受けた幼なじみの世津の最後を看取りに吾朗を連れて、東京に行く。

 
 40年前の春平が作った小さな「水兵帽」心に残るのである。


 緒方拳の実の母親も末期がんでどうしようもない状態で亡くなったという。そしてこの物語でも、幼なじみの世津を通し、生き方、死にかたを考えたのだと思う。緒方拳は母親と同じように末期がんで死んで逝った。すばらしいのは、多くの作品やメッセージを残したことだ・・・。