「パーク アンド ラブホテル」
第58回ベルリン映画祭授賞式が16日(日本時間17日未明)に行われ、日本の熊坂出(いずる)監督の長編デビュー作「パーク アンド ラブホテル」(4月下旬公開)が最優秀新人作品賞を受賞した。同映画は、前衛・実験的な作品を集めたフォーラム部門に出品されていた。都会のラブホテル屋上にある公園に集まる孤独な女性たちの交流を描いた。主人公のラブホテルオーナーを歌手りりぃ(56)が演じ、熊坂監督は「またベルリンに戻ってきたい」と話した。
1951年に創立されたベルリン国際映画祭は今年で58回目を迎える。カンヌ国際映画祭・ヴェネチア国際映画祭と並ぶ世界三大映画祭の1つといわれ、新人監督にも機会を与えていることが注目されている。今回最優秀新人作品賞を受賞した「パーク アンド ラブホテル」は第17回PFFスカラシップ作品である。これは長編映画製作援助システム“PFFスカラシップ”の援助の下に映画が完成していくシステムだ。熊坂監督は1975年、埼玉県生まれ、立大卒。ラブホテルの屋上の小さな公園をめぐるちょっと心温まる物語だそうな。
山田洋次監督、吉永小百合さん主演の「母べえ」は賞を逃したそうだが、熊坂作品に新たな世代が多くの人たちのバックアップを受け、死に物狂いで製作してきた意気込みが感じられたのだろう。ベルリンの壁を挟んで東ドイツと接する西ドイツを思い出せば、「パーク アンド ラブホテル」も違った見方が出来るのかもしれない。
金熊賞
ブラジルのジョゼ・パジーリャ監督「ザ・エリート・スクワッド」
- 審査員賞=エロール・モリス監督「スタンダード・オペレーティング・プロシージュア」
- 監督賞=「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のポール・トーマス・アンダーソン監督
- 女優賞=「ハッピーゴーラッキー」のサリー・ホーキンス
- 男優賞=「ザ・ソング・オブ・スパローズ」のレーザ・ナジエ
- 脚本賞=ワン・シャオシュアイ「イン・ラブ・ウィー・トラスト」
- 音楽賞=「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のジョニー・グリーンウッド
- アルフレート・バウアー賞(革新賞)=「レイク・タホ」(フェルナンド・エインビッケ監督)