松井秀、古巣の大歓迎に感激=「一生忘れられない瞬間」−米大リーグ

 粋な計らいに心が震えた。7年間、在籍したヤンキースとの今季初対決。松井秀は試合前に、古巣から昨年のワールドシリーズ制覇を記念した指輪を受け取った。総立ちのファンに祝福され、「とてもうれしく感動した。一生忘れられない瞬間」。口ぶりに実感がこもった。
 慣れない三塁側のベンチで待機すると、唇をきゅっと結び、こみ上げる「感謝」の気持ちをこらえた。直前に指輪を授与されたジーターより一層大きな歓声。整列していた旧友たちが、背番号55のもとへと寄って抱き合い、松井秀は「最高の形で迎えてもらって幸せだった」と感激した。
 2死一塁で打席に入った一回も、敵地のスタンドからの歓迎がやまずにいったん打席を外し、赤いヘルメットを掲げて応じたほど。9年ぶり27度目の栄冠へ、シリーズ最優秀選手の働きで貢献した35歳に、ヤンキースタジアムは温かかった。
 ともに戦ってきた左腕ペティット、抑えのリベラらの前に無安打。味方も完敗した。「昨年の王者だし相変わらず強いと感じた」。思いの詰まったニューヨークへの遠征。自身の歩みを改めて確認した。

 



 本当に粋な計らいである。


「一二塁間に整列していた元同僚たちが松井のもとに一斉に駆け寄って、次々と熱い抱擁を交わした」という瞬間はアメリカという国がものすごく大きく思えた。


 ヤンキースを去らなければならなくなった事情は野球ファンなら誰でも知っている。それを汲み、球場一丸となったシナリオの無い計らいであった。旧友は今は敵、でも松井の実力は認めているという関係、今日の第2戦で活躍してほしいものである。