フィットHV、10年中に販売へ ホンダ社長が方針

 ホンダの伊東孝紳(たかのぶ)社長(55)は13日、朝日新聞などとのインタビューで小型車フィットのハイブリッド車(HV)を、10年中に投入する方針を明らかにした。撤退したF1への再参戦には否定的だが、鈴鹿サーキット三重県鈴鹿市)でのF1日本グランプリ(GP)開催は継続する考えだ。

 6月23日に社長に就いた伊東氏は、12年をめどに検討していたフィットのHV国内販売開始について、約1年前倒しして「10年中に始めようと計画を作り直した」と話した。価格は明らかにしなかったが、同社の新型HVインサイトの最低価格189万円よりも、大幅に安くなることは確実だ。「四輪事業では、HVの車種をいかに早く広げるかに集中したい」とも述べ、トヨタ自動車のHVとの低価格競争がさらに過熱しそうだ。

 ホンダはスポーツカータイプのHV、CR―Zを10年2月、小型車シビックの新型HVを11年に発売する計画だ。伊東氏は、中大型車のHVに採用する新システムも「開発を加速している」とした。

 車種拡大により、世界販売台数に占めるHVの割合を、08年度の2%弱から、10年代の早い時期に10%に引き上げる方針だ。伊東氏は「各国の燃費規制は(エンジンの性能向上だけでは)達成できず、今後20年間で(他社製も含めた)すべての車がHVになる」と予想した。

 一方、撤退したF1については、「(ルールによる)制限が多くなり、企業の技術力を試す場ではなくなってきた。今の状況だと、経済が良くなっても『もう一度』ということにはならないと思う」と当面、復帰しない構えをみせた。ただ、トヨタ側が富士スピードウェイ静岡県小山町)での開催撤退を表明した日本GPに対しては「鈴鹿での開催は基本的に続けるスタンス」と述べた。

 世界の自動車市場の見通しでは「(国内市場は)比較的好調。エコカー減税などの政策が多分に効果を発揮しており、年内は持つと思う」としたが、米欧市場については「米国は希望的観測でも復調は来年後半から。欧州は米国よりも厳しいかもしれない」と慎重な見方だ。



 トヨタ創業家出身として豊田章男(53)氏が新社長に就任したことはご承知であるが、ホンダも伊東孝紳(たかのぶ)社長(55)に代わり若返りを図っている。伊東氏は「NSX」のアルミモノコックボディーの開発を手がけた技術屋あがりである。当然、HV、CR―Zを前倒し2010年に2月発売するという流れになる。ハイブリッドスポーツカーがどう受け入れられるのかは、分からないがきっと手ごたえがあるのだろう。益々、トヨタVSホンダの戦いはヒートアップしてくるのである。


 

Honda CR-Z
「Compact Renaissance ZERO」