こいのぼりのくぐり抜け


こどもの日の5日、大分県玖珠町で55メートルと35メートルのジャンボこいのぼりが遊泳する「日本童話祭」が行われた。傷みがひどくなって引退した60メートルのジャンボこいのぼりを再利用したトンネルも登場

 毎年5月5日の子供の日に見る写真であるが、今年のが一番好きだ。ゴールデンウィークの一日童心に返って「日本童話祭」を見つめるのも良かったのかもしれない。



 日本童話祭の行われる大分県玖珠町は「日本のアンデルセン」と讚えられた口演童話家、久留島武彦の生誕の地である。彼は明治7年、豊後森藩12代藩主久留島通(みち)靖(やす)の孫としての血筋である。児童文学者として有名で、童謡『夕やけ小やけ』の作詞者と知られ、作家としてよりも全国の子供たちに読み聞かせる口演童話家の道を選んだ。昭和35年の亡くなるまで、昭和30年代初めまで全国口演行脚を繰り返したというから口演童話家としての情熱は誰も真似が出来ない。

 彼は日本のボーイスカウト運動の草分け的人物でもあり、第2回世界ジャンボリー1924年)でデンマークに行ったとき、アンデルセンの生地であるオーデンセを訪れ荒れ放題だったことに心を痛め、地元新聞をはじめ、行く先々でアンデルセン復権を訴えた。この久留島の行動にデンマークの人たちも心動かされ日本のアンデルセンと呼ばれる様になった。